SS「軽音楽部vs自治会」
ショートストーリー「軽音楽部vs自治会」
◎ 音楽室
小水 光輝「ふんふんふ~ん……♪」
小水 光輝「今日も俺の容姿そしてドラム捌き共に完璧だな!」
ガラッ
雪笹 トシ「た、大変だぜ、光輝!!」
小水 光輝「どうした!?」
水藤リョウ「後期の予算会議で僕らの部費が減らされそうなんだよ」
小水 光輝「なにぃ~……っ!?」
雪笹 トシ「あの柊って自治会長、予算を仕分けして無駄な部分をどんどん削っていってるらしいぜ」
水藤リョウ「厳しい人だよね、柊自治会長」
雪笹 トシ「……まぁ、そこがいいんだけどな」
水藤リョウ「トシ、いつの間にか柊自治会長にまで恋心を抱いてたの?」
雪笹 トシ「そりゃ、オレは常にロマンスを追い求めてるからな」
水藤リョウ「女好きで見境がないだけでしょ!」
小水 光輝「く……っ! こうしてはおれん……。俺たちの部費は俺たちの手で守らねば!」
小水 光輝「行くぞ、トシ、リョウ! 自治会室に殴り込みだ!!」
水藤リョウ「え~? やっぱりこうなるの?」
・
・
・
◎ 自治会室
小水 光輝「頼もう!!」
柊 薫「んん……? 君たちは……」
小水 光輝「軽音楽部部長小水光輝他2名、荒ぶる宿星の誘いによって今ここに見参!!」
柊 薫「…………。何を言ってるんだ、君は?」
水藤リョウ「あ、あのすいません……。予算の削減のことで意義があって来ました」
柊 薫「……ああ、そのことか」
雪笹 トシ「そしてオレは薫、君に会いに愛を伝えに来たぜ!」
水藤リョウ「話がややこしくなるから、トシは黙ってて!」
柊 薫「…………」
小水 光輝「柊さん、どういうことですか!?」
小水 光輝「俺たちは今まで学園祭などのイベントを盛り上げて、大学側に貢献してきたというのに!」
柊 薫「いや、貢献はしてない。むしろ騒音被害など害悪をもたらした回数のほうが多いぞ」
小水 光輝「く……っ!」
小水 光輝「だがしかし、予算が削られれば俺たちの美しいバンド活動が維持できないじゃないですか!」
柊 薫「……ふむ。そのことなんだが」
柊 薫「昨年度の支出の内訳を見ると、ライブへの参加料や遠征費はごく一部で資金のほとんどが衣装代や舞台装置などに使われているな」
水藤リョウ「そりゃ、あの岡崎先生がゴージャスな衣装とか作りまくってますからね……」
柊 薫「つまり部の活動に必要な経費はごく一部で、あとは個人の勝手な趣味に使われているということだろう」
柊 薫「だからその余計な部分を削っただけだけのこと」
小水 光輝「むむ……っ!」
柊 薫「新しい予算でも、通常の活動ならば問題なくこなせるはずだ。余計な衣装については各個人で負担してくれ」
雪笹 トシ「うわ……、正論過ぎて何も言えねぇ。薫、素敵過ぎる!」
小水 光輝「く……っ!」
水藤リョウ「……光輝、ここは諦めて引き下がろうよ。明らかに僕たちに分が悪いよ」
小水 光輝「いや、まだだリョウ! 俺たちは……俺たち美しい集団はここで退くわけにはいかない!」
柊 薫「まったくどこまで自分に酔ってるんだか……」
小水 光輝「柊さん! 先ほど、あなたは衣装代は余計な出費だと言いましたよね?」
柊 薫「ああ、そうだ。何か間違いでもあるのか?」
小水 光輝「あるに決まってるでしょう! 俺たちはヴィジュアル系バンドですよ? 衣装を含めたパフォーマンス全体で観客を魅了するのが本来のあり方なんです!」
柊 薫「しかし、それなら今ある衣装を使い回せばいいだろう。常に衣装を新しく作る必要性は?」
小水 光輝「何を言ってるんですか!? 毎回ライブに一味違った風を吹かせる……一期一会の美の祭典だ! そのためには新しい衣装が常に必要なんです!」
雪笹 トシ「いいぞ、光輝! もっと押せ~!」
柊 薫「しかしそれなら、古い物をリメイクするとか節約する方法はいくらでもあるだろう」
雪笹 トシ「うおっ! 薫の切り返しもクールでキレッキレだぜ! 惚れてまうやろ~っ!」
水藤リョウ「さっきからトシはどっちの味方なんだよ……?」
小水 光輝「確かに世の中ではリサイクルこそ美と言われてきている……」
小水 光輝「しかし、俺たちは世の中を超越した存在だ! 常に新しい美を求める!!」
柊 薫「却下」
小水 光輝「ぬぉおおおお~っ!! 何故だぁ……!?」
柊 薫「お前たちは環境に優しくない」
小水 光輝「馬鹿な! 俺の16分の1くらいは優しさでできているというのに!」
水藤リョウ「別にたいした配分でもないよね。むしろ少ないよね」
柊 薫「……と言うより、もうヴィジュアル系など変なスタイルをやめて普通のバンドに方向転換すればいいじゃないか」
水藤リョウ「また元も子もないことを言われたよ……」
小水 光輝「だが……だが……俺は諦めん……!」
水藤リョウ「光輝?」
小水 光輝「柊さん、あなたの理屈で言うと俺たちのバンドに衣装は必要ないと言うことですね?」
柊 薫「ああ、そうだ」
小水 光輝「なら……そこまで言うのなら、次のライブで俺は上半身裸で演奏させてもらいましょう!」
柊 薫「はぁ!? 何故そうなる?」
小水 光輝「だって、衣装は不必要なんでしょう?」
柊 薫「普通の服を着ればいいだろう!」
小水 光輝「いや、Bloody Nooseの美しきボーカル兼ドラマー・MITSUKIに覚醒した俺は華やかな物しか着ない……」
小水 光輝「安物や使い回しの衣装を着るくらいならば、俺の肉体美を披露した方が絵になる!!」
柊 薫「ば、馬鹿者! 公然わいせつだろう!」
小水 光輝「いいえ、ライブのパフォーマンスで男性が上半身裸になるのはよくあることですよ。ご存じないんですか?」
柊 薫「く……っ!」
小水 光輝「さぁ、俺の新たなパフォーマンスを許容するか、部に予算をくれるか、どちらですか?」
雪笹 トシ「さすがは光輝、屁理屈の天才だぜ!」
水藤リョウ「僕は上半身裸で演奏するのはイヤだな~」
柊 薫「…………。お前たちと話していると強烈な頭痛がしてくるな……」
水藤リョウ「あ~、すいません。講師の人たちにもよく言われます……」
雪笹 トシ「そんな卑屈な顔をしている薫もポイント高いぜ!」
柊 薫「…………。(こいつらをまともに相手にしていては私の身がもたない……!)」
柊 薫「……わかった。そこまで言うのなら、予算は前年度と同じように配分しよう」
水藤リョウ「やった!」
雪笹 トシ「オレたちの執念の勝利だぜ!」
柊 薫「……だが、過激なパフォーマンスは自重するように。活動資金も少しは節約する努力をしろ」
小水 光輝「ふっ! 分かってくれれば、それでいいんですよ」
柊 薫「(あ~、もうストレス溜まる……!)」
小水 光輝「これで俺たちの美しさの前に陥落した女性がまた一人……」
柊 薫「してないわ! ていうか用が済んだのなら、さっさと出て行け!!」
小水 光輝「ならば運命の糸が再び交わった時にまた会いましょう!」
柊 薫「もう会いたくないっ!」
・
・
・
こうして軽音楽部の3人は(持ち前のウザさで)無事に予算を守り抜いたのであった。

終わり
◎ 音楽室
小水 光輝「ふんふんふ~ん……♪」
小水 光輝「今日も俺の容姿そしてドラム捌き共に完璧だな!」
ガラッ
雪笹 トシ「た、大変だぜ、光輝!!」
小水 光輝「どうした!?」
水藤リョウ「後期の予算会議で僕らの部費が減らされそうなんだよ」
小水 光輝「なにぃ~……っ!?」
雪笹 トシ「あの柊って自治会長、予算を仕分けして無駄な部分をどんどん削っていってるらしいぜ」
水藤リョウ「厳しい人だよね、柊自治会長」
雪笹 トシ「……まぁ、そこがいいんだけどな」
水藤リョウ「トシ、いつの間にか柊自治会長にまで恋心を抱いてたの?」
雪笹 トシ「そりゃ、オレは常にロマンスを追い求めてるからな」
水藤リョウ「女好きで見境がないだけでしょ!」
小水 光輝「く……っ! こうしてはおれん……。俺たちの部費は俺たちの手で守らねば!」
小水 光輝「行くぞ、トシ、リョウ! 自治会室に殴り込みだ!!」
水藤リョウ「え~? やっぱりこうなるの?」
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◎ 自治会室
小水 光輝「頼もう!!」
柊 薫「んん……? 君たちは……」
小水 光輝「軽音楽部部長小水光輝他2名、荒ぶる宿星の誘いによって今ここに見参!!」
柊 薫「…………。何を言ってるんだ、君は?」
水藤リョウ「あ、あのすいません……。予算の削減のことで意義があって来ました」
柊 薫「……ああ、そのことか」
雪笹 トシ「そしてオレは薫、君に会いに愛を伝えに来たぜ!」
水藤リョウ「話がややこしくなるから、トシは黙ってて!」
柊 薫「…………」
小水 光輝「柊さん、どういうことですか!?」
小水 光輝「俺たちは今まで学園祭などのイベントを盛り上げて、大学側に貢献してきたというのに!」
柊 薫「いや、貢献はしてない。むしろ騒音被害など害悪をもたらした回数のほうが多いぞ」
小水 光輝「く……っ!」
小水 光輝「だがしかし、予算が削られれば俺たちの美しいバンド活動が維持できないじゃないですか!」
柊 薫「……ふむ。そのことなんだが」
柊 薫「昨年度の支出の内訳を見ると、ライブへの参加料や遠征費はごく一部で資金のほとんどが衣装代や舞台装置などに使われているな」
水藤リョウ「そりゃ、あの岡崎先生がゴージャスな衣装とか作りまくってますからね……」
柊 薫「つまり部の活動に必要な経費はごく一部で、あとは個人の勝手な趣味に使われているということだろう」
柊 薫「だからその余計な部分を削っただけだけのこと」
小水 光輝「むむ……っ!」
柊 薫「新しい予算でも、通常の活動ならば問題なくこなせるはずだ。余計な衣装については各個人で負担してくれ」
雪笹 トシ「うわ……、正論過ぎて何も言えねぇ。薫、素敵過ぎる!」
小水 光輝「く……っ!」
水藤リョウ「……光輝、ここは諦めて引き下がろうよ。明らかに僕たちに分が悪いよ」
小水 光輝「いや、まだだリョウ! 俺たちは……俺たち美しい集団はここで退くわけにはいかない!」
柊 薫「まったくどこまで自分に酔ってるんだか……」
小水 光輝「柊さん! 先ほど、あなたは衣装代は余計な出費だと言いましたよね?」
柊 薫「ああ、そうだ。何か間違いでもあるのか?」
小水 光輝「あるに決まってるでしょう! 俺たちはヴィジュアル系バンドですよ? 衣装を含めたパフォーマンス全体で観客を魅了するのが本来のあり方なんです!」
柊 薫「しかし、それなら今ある衣装を使い回せばいいだろう。常に衣装を新しく作る必要性は?」
小水 光輝「何を言ってるんですか!? 毎回ライブに一味違った風を吹かせる……一期一会の美の祭典だ! そのためには新しい衣装が常に必要なんです!」
雪笹 トシ「いいぞ、光輝! もっと押せ~!」
柊 薫「しかしそれなら、古い物をリメイクするとか節約する方法はいくらでもあるだろう」
雪笹 トシ「うおっ! 薫の切り返しもクールでキレッキレだぜ! 惚れてまうやろ~っ!」
水藤リョウ「さっきからトシはどっちの味方なんだよ……?」
小水 光輝「確かに世の中ではリサイクルこそ美と言われてきている……」
小水 光輝「しかし、俺たちは世の中を超越した存在だ! 常に新しい美を求める!!」
柊 薫「却下」
小水 光輝「ぬぉおおおお~っ!! 何故だぁ……!?」
柊 薫「お前たちは環境に優しくない」
小水 光輝「馬鹿な! 俺の16分の1くらいは優しさでできているというのに!」
水藤リョウ「別にたいした配分でもないよね。むしろ少ないよね」
柊 薫「……と言うより、もうヴィジュアル系など変なスタイルをやめて普通のバンドに方向転換すればいいじゃないか」
水藤リョウ「また元も子もないことを言われたよ……」
小水 光輝「だが……だが……俺は諦めん……!」
水藤リョウ「光輝?」
小水 光輝「柊さん、あなたの理屈で言うと俺たちのバンドに衣装は必要ないと言うことですね?」
柊 薫「ああ、そうだ」
小水 光輝「なら……そこまで言うのなら、次のライブで俺は上半身裸で演奏させてもらいましょう!」
柊 薫「はぁ!? 何故そうなる?」
小水 光輝「だって、衣装は不必要なんでしょう?」
柊 薫「普通の服を着ればいいだろう!」
小水 光輝「いや、Bloody Nooseの美しきボーカル兼ドラマー・MITSUKIに覚醒した俺は華やかな物しか着ない……」
小水 光輝「安物や使い回しの衣装を着るくらいならば、俺の肉体美を披露した方が絵になる!!」
柊 薫「ば、馬鹿者! 公然わいせつだろう!」
小水 光輝「いいえ、ライブのパフォーマンスで男性が上半身裸になるのはよくあることですよ。ご存じないんですか?」
柊 薫「く……っ!」
小水 光輝「さぁ、俺の新たなパフォーマンスを許容するか、部に予算をくれるか、どちらですか?」
雪笹 トシ「さすがは光輝、屁理屈の天才だぜ!」
水藤リョウ「僕は上半身裸で演奏するのはイヤだな~」
柊 薫「…………。お前たちと話していると強烈な頭痛がしてくるな……」
水藤リョウ「あ~、すいません。講師の人たちにもよく言われます……」
雪笹 トシ「そんな卑屈な顔をしている薫もポイント高いぜ!」
柊 薫「…………。(こいつらをまともに相手にしていては私の身がもたない……!)」
柊 薫「……わかった。そこまで言うのなら、予算は前年度と同じように配分しよう」
水藤リョウ「やった!」
雪笹 トシ「オレたちの執念の勝利だぜ!」
柊 薫「……だが、過激なパフォーマンスは自重するように。活動資金も少しは節約する努力をしろ」
小水 光輝「ふっ! 分かってくれれば、それでいいんですよ」
柊 薫「(あ~、もうストレス溜まる……!)」
小水 光輝「これで俺たちの美しさの前に陥落した女性がまた一人……」
柊 薫「してないわ! ていうか用が済んだのなら、さっさと出て行け!!」
小水 光輝「ならば運命の糸が再び交わった時にまた会いましょう!」
柊 薫「もう会いたくないっ!」
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こうして軽音楽部の3人は(持ち前のウザさで)無事に予算を守り抜いたのであった。

終わり
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